H
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輪郭線
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紫の風景
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記憶にございません…??(人生初のライブを振り返る)
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ありあけ
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2015.10.03
『New Cinema Parallel』プラクティス要項
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2014.06.15
CMEと僕
随筆
2021.10.04
記憶にございません…??(人生初のライブを振り返る)
随筆, 2021.10.04
先日、ぼくは初めてひとまえでライブをした。
13才で「映画しよっと」と決めてから、ずっとデジタル実写映像をいじってきたのだけど、突然、その歩んできた道を全速力で走って帰りたい、どうしようもなく舞い戻りたい心地がしていた。その突然の心地は、おそらく1年半前と、1年前と、半年前にそれぞれ現れた。
どっちゃにしろ、ここ1年半ほどはそういう心地を抱いて暮らしていた。その心地の正体。つまり、「映画しよっと」そう思ったその瞬間、その瞬間のぼくに、いまの僕が改めてハナシを聞きに行きたい、行かねばならぬという、勘。
それはもはや、運命。年齢もシゴトも今現在のあらゆることが関係なくなっちゃう。
それはもはや、衝動。今、この瞬間に目に見えるもの全てが即時的に引き裂かれて、ほれほれその奥の方、昔懐かしいところからぽかぽか陽が差し込んで照らしてくる。
その心地に身を任せ、崖っぷちに行きあたった時のように、あとはくるりと向き直って、いままで来た道を戻るべき!べし!と、思ってはいるのだがどうにも足が動かん。崖っぷちから下をのぞき込むと轟々渦巻く白波がおっそろしいこと。それなのにやっぱり戻ろうとしない。なんだこの足は。アレアレ?俺はどうしちまったんだ??ちょいと視線を上げると、あらあら、お空と海の境目が、あらあら、かすんでひとつにつながっちゃってる。
青一色。
雲は、青空の奥行きを遠く遠くへと運んでゆく。
水面の乱反射は、真昼に現れた星々のまたたき。
「うん、こりゃあ…しようがない。ゴクリと唾を飲んで、ほれ。ぴょんと。ね。踏み出しましょうや。来た道を引き返すなんて、そんな面倒なことしなくても。ほら、ね。一歩でよござんすよ。よっぽど楽ですよ。旦那。そうそう。ほらほら。こんな良いお天気にフッとね。ほら。フッと、クイっと、ね。いっちゃいましょうか」
なんつって、よおこんなゲスいキャラが自分の命を測ってくるわ。やるせない。なんつって、ぼくはまだ崖っぷちで突っ立ったままである。ギリギリのひとりごとである。
いつもなら、このまま陽が沈むまで海と空に包まれて、じっとしている。ずっとこれまではそうだった。このあと空が焼けて真っ黒になったあと、優しい月がうっすらと空と海を照らし返す。そこでほっとして。僕は首尾よく家路に着けばいいのさ。てな、段取りを考えていた。
いつも通りってやつ。
その時。うたは初めて現れた。
ハッと驚き、アレッと気になった。
「どうして今まで僕はうたに出会うことができなかったのだろう?」いやいや、答えはめちゃめちゃ簡単である。
“僕がうたわないかぎり、うたは聞こえない“
あるいは、
“僕がうたにならないかぎり、うたはうたってくれない“
なのだ。
ふーむ、オモロいことになってきた。この崖っぷち、一歩踏み出しゃ、ふんわりさっぱり天国地獄大地獄。なんじゃけども。ちょっと、なにこれ。うた?うたってる??だれのうた???
うたを気にしてるうちに、青空はもっともっと奥行きを増して無限になるし、海はもっともっと宇宙みたいに広がってくし。うーん、ちょっと待って!うたってなに!?それなに!?
ちゅうことで、希望峰か東尋坊かオノゴロ島か知らんけども、そのギリギリの崖っぷちから急いで、走って、泳いで、もがいて、転がって、好奇心を先頭にドカドカ突き進み、ぐずぐずになりながら、時空をずっこけながら、戻ってきた。「映画しよっと」そう思ったその瞬間に、舞い戻る。
僕 「(ドンドンドン!!!)オイ、こら。起きんかい」
ぼく「はあ?」
僕 「あ、ごめん。なあ!ちょう。うたって知っちょる?」
ぼく「はあ?・・・。知っちょるけど」
僕 「えええ!うっそおおお。まじで!?どんなん!?」
ぼく「これじゃろ」
と言って、13才のぼくから僕が受け取ったのは、Nirvanaの「Nevermind」であった。ははあーん。そうかそうか。これね。これこれ。これですわ。はいはい。んーん。元気が出ますねえええ。
ぼく「で、なんしに来たん?」
僕 「あ、いや。ちょう。いっぺんうたってくらあ」
ぼく「はあ?うたいよん?はよ、映画のホン書きいや」
と、13才のぼくにアキレとシンパイを食らわして、僕はさっさとまた舞い戻った。どっちがオトナか分かったもんじゃない。
この次の段取りは、A:うたをうたう or B:うたになる、そのどっちかなんじゃけど、どうも段取れない。初めてのことはやっぱり右左も前後も上下もよくわからん。から、面白い。またしても好奇心を先頭にドカドカと突き進む。
そうして、2年前につくったドラマ「ゆれるせいかつ」の主題歌をつくり、うたってくれたグルパリさんのところを訪ねる。あれこれ話をしてみる。
そしたらば、なんと、バンドを、一緒に、やってみることとなった。ラッキー。サンキューソーマッチ。ホント、崖っぷちから引き返してよかった〜。
こんなそんなこんなで、気づけば、アレ、もうステージの上。
目の間にはマイクロフォンが置いちゃる。うへぇー。このあと、うたうのか?うたになるのか?どっちにしても、正直に言うとそこまでびっくりはしていない。
圧倒的な好奇心がめくれて膨れ上がって、完全に自分自身を包み込んでいる。
うたはどうやって生まれるのだろう。
うたはどこから生まれてくるのだろう。
なーんてぼんやり思っていると、崖っぷちのギリギリで聞こえてきたうたとか、13才のぼくから借りパクしてきたNirvanaとか、一歩踏み出しても良いやと好奇心を駆り立てる景色とか。なんかいろいろが、聞こえたり、思い出したり、混ざり合っていく。自然と香りや温度も、感じられてくる。
これこれ。これは知ってるよ。これは風景ってやつね。ぐるぐるぐらぐらぜんぶが混じって、とろ〜んとぽや〜んと、すすすすすすすううううぅっと。
そうやって、風景は、ぼく(と僕)を包みこんでゆく。映画しかこころになかったぼく(と僕)には、ただひとつ、いつでもこうやって風景を見ることができるん。
あたまのなかの映画館で風景は再生される。
あのうた、このうた、そのうた。聞こえてくる。
あの風景、この風景、その風景。見えてくる。
まったり。
・・・・・・。
どかどかどかどか!!!バコーンバコーン!!!
ぽやんと頭の中でいろんな映画(風景)を見ていた僕の背後から、グルパリさんが爆流のドラムを大放水し始める。
川。爆流の川。川の流れのようにって、え?ちょう?これがロック?美空って良い響き。やんべ。なんつって、その川をどんぶらどんぶら、昇っているのか降っているのか、溺れているのか泳いでいるのか。アレ!?必死。必死。あれあれ。
どかどか!!!ぐわー!!!バコーン!!!
体が、心が、脳が。
気づくと、ステージは暗転。ライブ終了の気配。ありゃ、終わった?僕は会場のすみっこにいた13才のぼくと目を合わせる。鏡合わせのように、お互いにニヤッと笑う。ようやくそこで恥ずかしくなって、ステージを降りた。
崖っぷちの一歩に立ち尽くしていた自分が、この日はステージに一歩踏み出し、初めてのうたをうたっていた。
おもしろすぎて、めちゃくちゃ笑えた。嬉しかった。
ステージの記憶はあんまりないけれど、こんなけ笑っているので良しとする。
・・・
そういやタイトルの狂気と暴走について書きそびれた。
僕は映画をするとき、いっつも心とアタマは“狂気“に埋めている。簡単に言えば、何も信じていないのに、全てを信じているような、引き裂かれたところに、心(感情)とアタマ(思考)を埋めている。
これは18−22歳の4年間でつくった映画「CME, that’s why we bring dogs.」の時の経験から。監督と主演をしたセルフファンタジー?みたいなこの映画をつくってから、そういうつくりかたが基調になった。
だから、僕はあらゆるアートとかクリエイションにも狂気の所在を感じたがる。引き裂かれていれば引き裂かれているほど感動する。だけど、ちょっとこれは問題があった。狂ってる方がいいって思ってる僕もまた狂ってるわけだろうし、なんちゅうかすごい孤独なのだ。狂気だけであらゆるものを判断する中には、共感不能に近い孤独の獅子舞のような心地がある。ともあれ、監督は長丁場で狂って長丁場で狂気に埋まって、ナンボのもんじゃいと思っているから、やっぱり“狂気“そのものへの信頼も揺るがない。じゃあ、やっぱり孤独に歩まんとね。
そんなところに、ライブでの経験は新しい視座をすえてくれた。
“暴走”
身体が声が、心もアタマも、追い抜かす。
うたが、感情も考えも、置いてけぼりにする。
追い抜き、引き離し、ぶっち切る。
だけどだけど、スポーツじゃない。全く違う。身体が心とアタマをぶん回して、ぶん投げて、ぶっ飛ばして、ぶっち切る。
映画をするとき、僕の内側(心・思考)は狂気に埋まる。
うたをするとき、僕の外側(身体・肉)は暴走してゆく。
なんか、そんな手応えと視座を得たように感じマウス。
・・・
*追伸*
グルパリさんとのバント・煮る花は、あのライブで完全に散りましたがまた咲くそうです。そして、当然のようにまた散るそうです。今後も狂い咲きと暴れ散りをするんでしょう。つかまり立ちをさせてくれたグルパリさんと、前説を務めてくれた南里さんと、会場にいらした方々に。改めて感謝を。ありがとう。


布村喜和 / 映画監督 Yoshikazu Homura / Film Director
About
3月19日生まれ。山口県出身。大阪芸術大学映像学科卒。 2017年3月19日、HOMURA & a 319 Filmworks Blue 設立。シネマトグラフ発明に始まる"相対的なる映画史"と、 インディペンデント映画やアートフィルムが接近を試みる"絶対的なる映画史"。 広い世界と無限の観客、しかし、自己の所在は依然として分からない。 ただ、映画をつくりつづける。生きている。
Born March 19th. I am from Yamaguchi Prefecture. He graduated from Osaka University of Arts and Sciences. On March 19, 2017, HOMURA & a 319 Filmworks Blue was founded. "Cinematograph" Relative movie history starting with invention, "absolute movie history" where independent films and art films try approaching. Wide world and infinite audience, but I still do not know where I am. However, he continues to make movies. I am still alive, today.
Award
DAIGEI FILM AWARDS 2013 上映
ぴあフィルムフェスティバル2014 1次審査通過
日本芸術センター 第六回映像グランプリ 本選上映
第3回 三軒茶屋映像カーニバル 奨励賞受賞
(映画監督・松井良彦氏 選出)
YCAM10th FILM by MUSIC
「架空の映画音楽の為の映像コンペティション」入選
(音楽家・坂本龍一氏 選出)
DAIGEI FILM AWARDS 2013
/ Screening
PFF 2014
/ First pass judging
The 6th Video Grand Prix of the Japan Art Center
/ Screening
The 3rd sangenjaya cinema carnival
/ Incentive Award (Yoshihiko Matsui selected)
YCAM 10th FILM by MUSIC
“Video Competition for Fictitious Film Music”
/ Winning (Ryuichi Sakamoto selected)












&
随筆
記憶にございません…??(人生初のライブを振り返る)
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