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随筆
2021.08.24

青の風景

随筆, 2021.08.24

僕が風景を見つけるとき。
いつも懐かしい香りがする。風は心地よく抜けてゆく。カメラは必要無い。この身ひとつで立ち尽し、ただ息を続ける。風景に包まれている。

写真に写ったものは風景なのだろうか。
そこにはあの香りも風も空気もない。風景のようなモノが有る。空気のないところで息はできない。大気圏外に飛ばされた無酸素の風景。あなたの写真の前で、僕は呼吸できない。

僕の内側(内臓や知覚)と紐づいて風景が現れるならば、そんな私的な風景はどうにも共有することはできない。僕の肺は君の肺とは繋がっていない。

だけど、ふたりでいるときに風景を見つけて、隣にいる君はハッとして、僕も同じように空気を飲んで、ふたりが同じように目を丸くして、じっとふたりで顔を見合わせて・・・。
その奇跡的な瞬間は、風景が、空気が、酸素が、ふたりを繋いでいるような気もする。

自分がどうして独りで海に入るのか考える。
海の中、空気のないところ。
空の青がまぶしくて、海の青がやわらかくて。そう、青。

「地球は青かった」

宇宙飛行士・ガガーリンは、はじめて地球を風景にした。
彼のこの言葉は、カメラには写らない、宇宙の風やにおいや温度や湿度や大気や気配を届けてくれた。その青い風景にぼくたち人間全部が包まれている。

無酸素で見る青。
地球の青。
命をかけて見る青。
生きては戻れぬ青。
死んでも見たい青。

青。

布村喜和 / 映画監督 Yoshikazu Homura / Film Director

About

3月19日生まれ。山口県出身。大阪芸術大学映像学科卒。 2017年3月19日、HOMURA & a 319 Filmworks Blue 設立。シネマトグラフ発明に始まる"相対的なる映画史"と、 インディペンデント映画やアートフィルムが接近を試みる"絶対的なる映画史"。 広い世界と無限の観客、しかし、自己の所在は依然として分からない。 ただ、映画をつくりつづける。生きている。

Born March 19th. I am from Yamaguchi Prefecture. He graduated from Osaka University of Arts and Sciences. On March 19, 2017, HOMURA & a 319 Filmworks Blue was founded. "Cinematograph" Relative movie history starting with invention, "absolute movie history" where independent films and art films try approaching. Wide world and infinite audience, but I still do not know where I am. However, he continues to make movies. I am still alive, today.

Award

DAIGEI FILM AWARDS 2013 上映
ぴあフィルムフェスティバル2014 1次審査通過
日本芸術センター 第六回映像グランプリ 本選上映
第3回 三軒茶屋映像カーニバル 奨励賞受賞
(映画監督・松井良彦氏 選出)

YCAM10th FILM by MUSIC
「架空の映画音楽の為の映像コンペティション」入選
(音楽家・坂本龍一氏 選出)

DAIGEI FILM AWARDS 2013
 / Screening

PFF 2014
 / First pass judging

The 6th Video Grand Prix of the Japan Art Center
 / Screening

The 3rd sangenjaya cinema carnival
 / Incentive Award (Yoshihiko Matsui selected)

YCAM 10th FILM by MUSIC
“Video Competition for Fictitious Film Music”
 / Winning (Ryuichi Sakamoto selected)

I believe and movies that I believe.
& I believe and movies that I believe.